前回、WindowsServerにおけるグループポリシーの設定、適用のタイミング、継承と上書きについてご紹介しました。
当記事ではグループポリシーのセキュリティポリシーの構成のパスワードのポリシーついてご紹介します。
セキュリティを確保する上で重要となるのが、ユーザーアカウントの認証操作と、その際に使用するパスワードです。
グループポリシーを使った「パスワードポリシー」を適切に設定することにより、より安全なパスワードの運用管理をすることができるようになります。
パスワードポリシー
パスワードポリシーは、ユーザーのパスワードを設定するための指針を示したもので、ドメインアカウントやローカルユーザーアカウントに対して適用されます。
したがって、このポリシーを適切に設定、運用することが重要となります。
パスワードに関するポリシー
Windows Server 2012 / R2には、パスワードに関するポリシーが6つ用意されています。
- パスワードの長さ
- パスワードの変更禁止期間
- パスワードの有効期間
- パスワードの履歴を記録する
- 暗号化を元に戻せる状態でパスワードを保存する
- 複雑さの要件を満たす必要があるパスワード
パスワードポリシーの設定
パスワードポリシーの設定は、「ドメインセキュリティポリシー」または「ローカルセキュリティポリシー」コンソールによって行います。
また、ドメインコントローラー以外のメンバーサーバーにローカルユーザーが登録されている場合、各コンピューターにローカルユーザー用のパスワードポリシーを設定する必要があります。
「グループポリシーの管理」コンソールからドメイン全体のパスワードポリシーを設定する場合は、「Default Domain Policy」GPOを編集します。
- パスワードの長さ
パスワードの長さの設定は、ユーザーアカウントのパスワードに使用できる最小文字数を指定します。 設定値は1~14文字の範囲で指定できますが、文字数を「0」にするとパスワードが不要となります。
ドメインコントローラーの既定値は「7」となっており、ドメインのメンバーコンピューターはドメインコントローラーの構成に従うようになっています。
なお、スタンドアロンサーバーの既定値は「0」です。
- パスワードの変更禁止期間
パスワードの変更禁止期間の設定は、パスワードを変更できるようになるまでの期間を日数で指定します。 そのため、ユーザーはこの期間中同じパスワードを使用することになります。
設定値には1~998までの日数を指定できますが、「0」にするといつでも変更できるようになります。
通常、パスワードの変更禁止期間は、パスワードの有効期間よりも短い値を設定するようにしておきます。
また、パスワードの履歴を記録する場合は、パスワードの変更禁止期間を1以上に設定するようにします。
ドメインコントローラーの既定値は「1」となっており、ドメインのメンバーコンピューターはドメインコントローラーの構成に従うようになっています。
なお、スタンドアロンサーバーの既定値は「0」です。
- パスワードの有効期間
パスワードの有効期間の設定は、同一のパスワードを使用できる期間を指定します。
この期間を過ぎると、システムからパスワードを変更するように要求されます。
設定できる期間は1~999日ですが、既定では「42日」が設定されています。 「0」を設定するとパスワードの変更期間は設定されません。
また、パスワードの有効期間を1~199の間で設定した場合、「パスワードの変更禁止期間」にはこれよりも短い期間を設定するようにします。
反対に、パスワードの有効期間を「0」に設定した場合は、「パスワードの変更禁止期間」として0~998日までの間で指定できます。
- パスワードの履歴を記録する
「パスワードの履歴を記録する」の設定では、以前使用したことのあるパスワードを再度使うことができるようになるまでの、パスワードの変更回数を0~24回の範囲で指定します。
これにより、古いパスワードの使いまわしを防ぐことが可能となり、セキュリティの強化を図れます。
ドメインコントローラーの既定値は「24」となっており、ドメインのメンバーコンピューターはドメインコントローラーの構成に従うようになっています。
なお、スタンドアロンサーバーの既定値は「0」です。
- 暗号化を元に戻せる状態でパスワードを保存する
「暗号化を元に戻せる状態でパスワードを保存する」の設定は、暗号化を元に戻せる状態でパスワードをOSに保存するかどうかを指定します。 既定では「無効」となっています。
認証用にユーザーパスワード情報が必要となるプロトコルを使用している場合は、この設定を有効にする必要がありますが、パスワードがプレーンテキストで保存されるのと同じことになるため、セキュリティは低下します。
- 複雑さの要件を満たす必要があるパスワード
複雑さの要件を満たす必要があるパスワードの設定は、パスワードの複雑さの程度を指定します。
この設定により、パスワードは以下の要件を満たしている必要があります。
- ユーザーのアカウント名の全部または一部(連続する3文字以上)を使用しない
- パスワードの長さは6文字以上にする
- 以下の4つのカテゴリーのうち、3つ以上の文字を使用する
・ 英大文字
・ 英小文字
・ 10進数の数字(0~9)
・ アルファベット以外の記号文字(!、#、$、%、- など)
いかがでしたでしょうか。
ぜひお勉強の際にお役立て下さい。